おしえて偉い人!
「なんで昔のマンガや宗教画には中指と薬指のくっついた手が多いの?」

   

気になっていることがあります。昔のマンガを読んでいると登場人物の手の形で中指と薬指のくっついた画がよくでてくることがある。
今までは気にしていなかったけれど、一旦意識して色んなものをみてみると、さまざまな絵でくっついているのが目に付きはじめた。
理由はわからないけど、みんなくっついている。調べてみると、なぜか昔の西洋の宗教画などにも多く出てくる。エルグレコ
とかがとくにそうだ。ほかはラファエロとかも描いていて、肖像画にも多い。

   

 また、日本の国民的アニメのサザエさんにも頻繁にでてくる。何かを持ったりするときも、たいていこの手をしている。カツオもワカメもフネさんもみんなこの手をしている。
これってどういうことなんだろう?なんでこんなにたくさんの人が色んな場面で中指と薬指がくっついている手を描いているのか?だれかが仕組んだ陰謀なのだろうか?

  

あの手塚先生もこの手を描いている。

  

あれこれ調べてみたけれど、現在このことに関する明確な理由はないようだった。でも、確実にこの手の形は様々な人に意識的にか無意識的にか描かれている。というか、ここまでくっついているのだから意識的に描いているに違いない。その理由がないはずがないと私は思った。

なので、私なりにそれを以下の4つの理由だろうと推測し、私もマンガを描くのだから、わかりやすいし実際に描いてみて検証してみた。

 

理由その?・中指と薬指がくっついているとなんかきれいでまとまって見えるから描いている。

 気品がただよう感じがするのは後ろの効果のせいだと思った。
バレエなどではこの手をするらしい。やはりきれいにみえるからだろう。しかしサザエさんetcは常にきれいである必要は無いし。

 

 理由その?・描くのが楽だから描いている。

 

 

 

 

感想
手がバラケているより楽な感じがした。画面がまとまるからかもしれない。
あと、単純にわたしがマンガでこの手の形に見慣れているせいかもしれないが、
描いただけでマンガっぽい絵になったから助かった。
これは理由その?にも通じると思われる。

 

理由その?・手の構造上の問題でしょうがなくそうなってしまう。

 

感想
よくチョキをふざけて四コマ目の形でやることがあるが、絶対にプルプルしてしまう。手の構造上、中指と薬指は意識して離すのは難しい。
でも、日常生活を送っていてもこの手になっているところはあまりみかけないし、逆に中指と薬指がくっついているほうが意識的にやらないとできない人のほうが多いようだった。
ならばとおもって手先を意識する人は、と思い調べた、手タレやモデルなど、そういった職業でもあまり見つからなかった。(だいたいが普通に五本開いた手か、四本くっついた手などになっていた。)

その?あるいはマンガの中の人物の宿命

感想
マンガの中の世界では、私たちの住む世界とは違うルールが流れている。
突然周りに効果線がはいったり、走ると足が増えたり、目が飛び出したりする。

中指と薬指がくっついていることなど彼らマンガの中のキャラクターたちにとってみれば大したことではないのかもしれない。




といったように4つの理由で考えてみた。

しかし、正直考えても、描いても確信のもてる答えは出なかった。エルグレコなどに関しては、もう本人も死んでるし、どうして中指と薬指がくっついてるんですか?とも聞けない。真相は永遠に闇の中だ。

だれか頭のいい人、偉い人、私の代わりに調べてください。お願いします。
(2011.1.8)
 

 

追記

様々なご意見ご感想があり、とても興味深かったので紹介させてもらいます。(2011.1.12さらに追記)

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「手の指を開き、中指と薬指だけを閉じなさい。罪が犯される時。困難に出会った時。絶望の淵に立たされた時。その手を、痛み続ける胸に当てなさい 」イグナティウス・デ・ロヨラ「心霊修養」
(勝手にはてなのコメントから抜粋しました。すいません)

これはイグナティウス・デ・ロヨラというひとが書いた心霊修養というものの中にある言葉で、このひとはイエズス会の創始者のひとりだそうです。この人のことをエルグレコは信じていて、画の中にその手をした人物を描いたといわれているそうです。その辺詳しくのってるページ
これは有力じゃないでしょうか?エルグレコがあの手を多用しているのはそういうわけだったのかと納得。それをまた漫画家や絵をかくひとがまねして・・・という流れを想像しました。
そもそもロヨラがなんでこの動作をしようと思ったのかは謎ですが(意見の一つとして、この動作がフリーメイソンのシンボルマークで有名な六芒星ではないかというものがありました。中指薬指が△、人差し指小指が▽にみえるからとのこと。宗教的な意味が強いからロヨラがこの意味で使ったというのはあり得ない話ではないかも)。
どちらにしても、この意見でエルグレコの問題は一つ解決したかと思います。でも別にこれが様々な人が様々な場所時代で書いているということの解決にはなりません。
そういえば触れるのを忘れていたのですが、アジアの美人画などでもみられる(仏画もおしいけど似たような手がありますね。)ので、世界中にひろがりがあるようです。しかし、それとこれとはおそらく別でしょう。

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漫画や絵を描いている人の意見まとめ
書きやすいから/描くスピードをはやくしようとするとこうなる/まとまるから/有名な漫画家がこうやってかいていたから無意識に真似ていた etc
だいたいこのへんが多かったです。

無意識にこの手を描いている人はかなりたくさんいるようでした。それは上に載せてるそうそうたるメンバーの漫画家や画家が描いていることからも無理はないだろうと思います。おそらく無意識に真似ていて、それが連鎖したといったところでしょうか。
でもそれをなぜと思わずに無意識に書いているというところが面白いと私は思いました。それほど浸透しているということでしょう。
しかも、もともとの起源がキリスト教の美意識かもしれないってところがすごいですね。知らず知らずに浸透してるんですね。

わたしが気になった意見・・・「デッサンをするときに自分の手を描こうとすると、脱力した状態がこうなりやすい」 
漫画家も絵描きもおそらく手を描くときに形を参考にするのは自分の手。そして脱力した状態では手がこうなりやすいらしいです。
そうはならないって場合もあるとは思うのですが、私に限っていうとわりとなっていることが多いです。
その理由↓

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中指と薬指の腱(けん)はつながっているので、放っておくと自然にこうなる。

とのことです。
また、右手ではやりやすく、左手ではやりにくいという意見もありました。

ほかにも、
・腕が伸びた先に中指と薬指を配置して描くと、うまく直線的に手を描くことができるため。
手を描く時、ほぼ平行な中指と薬指をイメージした上で他の指を付け足すと、きれいに速く描きやすい。
・ディズニーのキャラクターは四本指だから
・昔のまんがや宗教画では人差し指と小指を離して描くことが多かったから。

etcetc・・・ほかにもたくさんあるけど全部抜粋です。ありがとうございます。

 

現時点まとめ

さまざまな事例があるけれど、世界中のいろんな場所で大昔からどうやらこの手が存在しているようです。
それは西洋の宗教画・アジアの美人画などにもみられます。この辺の関連性はもはやよくわかりません。
気になることは、そもそもこの手が長く描かれ好まれる理由。
ようは簡単にいっちゃえば、きれいでまとまって見えるから、みんな無意識のうちのセンスでマネしてかいている。というのがわかりやすく簡単な結論かもしれません。
しかし本当にそうなのかな?という部分もたくさんあり、今は漫画などでまとまるから、描きやすいからと無意識にかかれているのかもしれませんが、昔もそうだったのか?というとエルグレコの、実は意味があったというところからみると納得しきれない部分もあります。
ともかく、長い昔から今に至るまで描かれているにも関わらず、名前もついていない、技法としてもないこの手が描かれ続けているというのは面白いし、素晴らしいことであると思いました。
何があるというわけではないですがこのページを見た人は今後素直に漫画を読めなくなる、おもわず手の形をみてしまう・・・
そういうのを期待します。




◎上の意見はこちらからとツイッターとかでもらった意見の一部です。また、メールにて意見を下さった方々もどうもありがとうございました。

漫画家の香山哲さんの意見 ブログで書いてくださいました。絵の中の近景としての手の役割、意味の強くなりやすい手の形の中で、この手の持つ意味のないことの意味について。手書きの図ものってて、とても興味深い意見です。(勝手にリンク貼ってしまった。)

つづく?(2011.1.11)


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